デリバリーワーカーの権利

フードデリバリー配達員が知っておくべき、稼働中の体調変化・怪我への対処法

Tags: 安全, 体調管理, 怪我, トラブル対応, 配達員

フードデリバリーの配達業務は、天候に関わらず屋外で活動することが多く、体力的にも精神的にも負担がかかる場合があります。特に経験が浅い方は、無理をしてしまい、稼働中に体調が悪くなったり、不慮の怪我に見舞われたりする可能性もゼロではありません。

万が一の事態に適切に対応するためには、事前の準備と、状況に応じた落ち着いた対処が重要です。このページでは、稼働中に体調変化や怪我を感じた際の判断基準と具体的な対応方法について解説します。

稼働中の体調変化に気づいたら:無理は禁物です

配達中、「少し疲れたな」と感じることは誰にでもあるかもしれません。しかし、それが「いつもと違う」「具合が悪い」と感じる体調変化の場合は、注意が必要です。

具体的な症状としては、以下のようなものがあります。

このような体調変化を感じた場合、最も大切なのは「無理をしない」という判断です。次の配達へ向かう前に、安全な場所に停止し、自身の体調を冷静に観察してください。

稼働継続の判断基準

プラットフォームアプリでの対応

体調不良により稼働を中止する場合、現在受けている配達がないか確認します。配達中の場合は、可能な限りプラットフォームのサポートへ連絡し、状況を説明して指示を仰ぎましょう。次の配達を受けないように、アプリ上で「オフラインにする」などの操作を行い、新規の注文が入らない状態にしてください。

稼働中に軽微な怪我をしたら:まず安全確保と応急処置

配達中に転倒したり、物にぶつかったりして、擦り傷や打撲などの軽微な怪我をすることもあるかもしれません。

怪我をしてしまったら、以下の手順で対応することを検討してください。

  1. 安全確保: まず第一に、自身と周囲の安全を確保してください。もし車両を運転中であれば、安全な場所に停車させます。慌ててその場に立ち止まったりせず、交通の妨げにならない場所へ移動してください。
  2. 怪我の状況確認と応急処置: 怪我の程度を確認します。軽い擦り傷や切り傷であれば、持っている応急処置キット(絆創膏、消毒液など、事前に準備しておくことを推奨します)で手当を行います。出血が多い場合や、痛みで動かせないなどの場合は、無理せず救急車を呼ぶことも考えてください。
  3. 稼働継続の判断: 応急処置で痛みが軽減し、安全に稼働を続けられると判断できる場合にのみ再開を検討します。少しでも不安がある場合は、稼働を中止することが賢明です。
  4. プラットフォームへの報告(状況による): 業務中に発生した怪我で、配達に影響が出る場合や、後にプラットフォームの保険適用を検討する可能性がある場合は、状況をプラットフォームのサポートに報告することを検討してください。特に、配達中の事故による怪我の場合は、速やかにプラットフォームに連絡する必要があります(事故対応については別途記事をご参照ください)。
  5. 配達中の場合: もし怪我をしたのが配達中であった場合、配達を継続できるか判断します。継続が困難な場合は、プラットフォームのサポートに連絡し、配達ができない状況であることを伝え、指示を仰ぎます。注文者や店舗にも、遅延や配達不可能になる可能性があることを適切に伝える必要があるかもしれません。

より重篤な場合や判断に迷う場合

痛みで動けない、意識が朦朧とする、出血が止まらないなど、怪我や体調不良が重篤な場合は、迷わず救急車を要請してください。

軽微に見えても、後から症状が悪化したり、実は骨折していたりすることもあります。少しでも不安がある場合は、自己判断せず、病院を受診することが重要です。

保険や補償について

業務中の怪我や体調不良により稼働ができなくなった場合の補償については、フードデリバリー配達員が業務委託契約であることから、会社員のように「労災保険」が自動的に適用されるわけではありません。

休業中の所得補償については、業務委託契約においては原則としてありません。ただし、プラットフォームの保険で一定の補償がある場合もありますので、確認が必要です。

記録の重要性

体調不良や怪我が発生した場合、その状況を記録しておくことは非常に重要です。

この記録は、後日プラットフォームへ報告する場合や、保険金を請求する場合などに役立ちます。

予防策を講じる

稼働中の体調不良や怪我は、日頃からの心がけでリスクを減らすことができます。

まとめ

フードデリバリー配達員にとって、自身の安全と健康は何よりも優先されるべきです。稼働中に体調に異変を感じたり、怪我をしてしまったりした場合、まずは安全な場所で落ち着き、自身の状態を正しく判断することが重要です。無理な稼働継続は避け、必要に応じてプラットフォームへの連絡や病院受診を検討してください。

万が一の事態に備え、加入している保険の内容を確認しておくこと、そして日頃から体調管理や安全対策に努めることが大切です。

このページで提供した情報は一般的な内容です。個別の状況によって適切な対応は異なる場合がありますので、ご自身の状況に合わせて判断してください。判断に迷う場合や不安が大きい場合は、ご家族や友人、あるいは必要に応じて医療機関や保険会社、専門家(労働組合や弁護士など)に相談することも検討しましょう。